発注者にも資格を

 地方の自治体で土木関連事業の計画、地元交渉、調査、設計、施工、事後評価など一連の流れに携わっている。

 大学卒業後最初に就職したのは都会の測量会社だった。測量と設計は一本化して発注されることが多く、測量はどうしても設計の下請けとなった。発注を一本化したほうが発注者の事務手続きが軽減できるからだ。

 そこで、私が就職した前年にその会社は設計部門を創設し、設計も元請け直営で行うこととした。設計部門には先輩が一人いて、同期入社の同僚と三人でコンサルタント業務を始めた。業務は全国規模であった。今では考えられないがそんなこともできた時代だった。

 御多分にもれず、徹夜の連続となった。食べることと寝ることだけが楽しみだった。発注者に人を増やして工期に間に合わせてくれと言われても、返す言葉がなかった。他の道もあったのではないかと考えていた。

 故あって郷里の自治体に転職した。事業の一連の流れがわかった。時を経て、入札制度は指名競争入札から一般競争入札へと変わってきた。落札価格競争が激化したため、最低制限価格が設けられた。品質維持のため、新たに検査専門部署も設けられた。

 自ら積算は、自らの積算方式でとはいうが、発注者の積算体系でなければ予定価格が正確に予想できない。つまり自ら積算では仕事が取れない。同額の入札価格が何社もあったり、千円違いが何社もあったりしている。同額ならくじ引きとなる。予定価格を事前に公表したこともあったが、それは取りやめになった。試行ということだった。

 工事書類の簡素化がいわれて久しいが、一向に提出資料が減らない。むしろ増えている。検査員が検査時に書類を求めるため、監督員もそれに従うこととなるからだ。現場代理人は書類作成に追われる。施工監理に専念してほしいのだがそうもいかない。

 入札参加要件に、技術者の必須資格の指定が盛り込まれた。受注者に資格を求めるのはいいが、監督員と検査員の資格はどうなのだろうか。これで対等な契約関係が結べるのだろうか。そんなことをしたら仕事が回らなくなるとでもいうのだろうか。