日だまりの縁側で、胡坐をかいて新聞を読んでいる父を見つけると、私は走っていって、深いその中に、すっぽりと入り込むことが好きだった。

 幼い時は、歌う父に飛びついて、私というかたちがなくなるまで、父の深い懐の中でじゃれていたが、大きくなるにつれ、歌いながら近づいてくる父から隠れ、自分の部屋でなるべく静かにしていた。

「チャキ、いい子にしていたかな」

 「いつかお父さんが死んだらね、こうやって、こんな風にして、新田次郎は小説を書いていたっていうことを、チャキはちゃんと覚えていて、しっかり書くのだよ」

「読むことは築くこと、書くことは創ること、新田次郎」