名古屋で多発性骨髄腫セミナーがあった。多発性骨髄腫の疾患と治療について、治療法の現況と、合併症、新薬の開発動向などをお聞きした。多発性骨髄腫の死亡率は10万人当たり3528人(2017年)、罹患率10万人当たり男5.6人、女4.7人。50%全生存期間(Overall Survival オーバーオールサバイバル:治療開始日から患者が生存した期間)は、1990-2000年は38.9ヶ月、2001-2012年は60.6ヶ月という統計がある。

 私が罹患した2007年頃の50%全生存期間は約5年。だから、2000年までの統計では、5年(60ヶ月)生存率30%はあながち嘘ではない。多発性骨髄腫の治療目標は、①骨髄腫細胞とM蛋白をできる限り減少させる、②貧血・腎障害・骨痛などの症状を改善させる、③長期生存と生活の質(QOL)の改善を目指す、である。つまり、病気と上手に付き合っていきましょう、ということである。

 多発性骨髄腫は高齢者に多い病気である。では、高齢者は何歳から?世界保健機構では65歳以上、日本老年学会の提言では75歳以上、日本の運転免許証では70歳以上とされている。人は加齢により臓器の能力は低下する。別の病気も抱えるようになる。治療の目標をどこにおくか。治療法の選択が求められる。

 多発性骨髄腫の合併症に骨病変がある。私の経験では、ひどいときは寝返りもできない。医療用麻薬も効かない。軽いものを持ち上げようとしても、時に亀裂骨折を起こす。骨密度が下がる。痛み止めの使用もありうるが、根本的な対策は骨髄腫細胞を減らすことである。その結果骨は再生していく。神経障害もある。神経障害は骨病変のほかにアミロイド蛋白の沈着で起きる。一度障害を受けた神経細胞は修復しにくい。足の痺れは何時までも残っている。素足でスリッパを履いたとき、足先がうまく入らないと思って足元を見ると、小指だけスリッパの縁からはみ出ていたなんてことがある。貧血も起こる。多発性骨髄腫診断前、職場の健康診断で血の気が少ないといわれた。貧血ということである。何気なく職場の上司話したら、「おお、いいことじゃないか」といわれた。いや、そういう意味じゃなくて、ちょっと意味が違うんだけど、と思った。多発性骨髄腫では、ヘモグロビンが1デシリットル当り10g未満になると治療介入となる。私の場合、自家移植では貧血症状は改善しなかったが、同種移植で赤血球が増え始め貧血は解消された。血栓症も起こす。これは厄介で、発症から10年目になるが、いいまだに治療薬を服用している。多発性骨髄腫の場合は、血栓症の中でも「下肢深部静脈血栓症(エコにミークラス症候群)」である。最初は左足膝裏の静脈にできた。原因はサレドカプセルと思われた。一旦は治ったが、しばらく経って、今度は右足膝裏の静脈にできた。原因は不明だった。だから予防的にイグザレルトを服用している。右足は多発性骨髄腫とは関係なく加齢によるものかもしれない。